品質不正はなぜ起こるのか

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品質不正はなぜ起こるのか?   SOMPOリスクマネジメント株式会社著

私自身が、品質管理の仕事をしているので興味を持ち手に取りました。
具体例も挙げている中で、なんとなくあの事例のことを挙げているなと分かりました。
実際にできている部分もあったり、そのようなことも必要だなって気付きました。
せっかくですから備忘録としてまとめましたので、参考にしてください。
だれもが不正をしたくてしている訳ではありません。
動機と機会と正当化で発生してしまいます。

1.社会問題となった品質不正

2000年以降にリコール隠し、食品産地偽装、記録の改ざん・偽装、製造年月日の偽装
法令違反、検査不正、虚偽申告等々の事案が発生。

2.品質不正と不正のトライアングル

①製品そのものの品質+②工程上の品質=お客さまと約束した品質
品質不正は、オモテの品質のみならず、ウラの品質不正も含む。
不正のトライアングル
 ・他人に打ち明けられない問題(動機やプレッシャー)
 ・信頼を裏切るだけの機会
 ・その行為を適切なものであると定義する一連の正当化

品質のトライアングル

3.品質不正にかかわる想定ケース

(1)品質監査の形骸化
 ノーチェックパターン
  実質なにもチェックされていない。
  現場から出てきたチェックシート「問題なし」を鵜呑み
 形式化パターン
  例年見るポイントが同じで、細かい作業は見ていない。
 対応者固定パターン
  監査する人が固定されているので、同じ内容のチェック。
 現場実施パターン
  現場の製造部のみで完結で、都合の良い結果をまとめている。
(2)不正を容認する企業風土
 トップマネジメントの品質意識が低い(売り上げ至上主義の上層部)
 会社を統括する品質保証部門の権限が弱い(現場や営業主導)
  品質保証部が製造部門の中にある。
 品質教育が適切に実施されていない
(3)開発不正のポイント
 開発時点での不正問題
 顧客からの過剰な要求
 他部門とのコミュニケーション不全から生じる弊害
(4)検査不正のポイント
 検査システムの抜け道を悪用
 品質部門の業務ひっ迫
 引き継がれる不正行動
 人事の固定
(5)基準違反のポイント
 業務任意規格の意識
 サプライヤーによる部材のサイレントチェンジ
 過去データを流用するという不正
 品質保証部長の品質意識

4.品質不正を予防するために

品質方針の策定・明示
 方針を示して具体的に 例)世界一の品質、安定した品質など
 顧客満足という視点で品質方針を定める。
品質部門の権限とリソースの強化
品質不正をチェックする監査 → 品質不正に特化したチェックシートの作成
 設計
  客先要求仕様に対して適切な検証が実施されているか?
  要求仕様と試験結果の合否判定の基準に齟齬はないか?
  試験結果が意図的に修正されていないか?
  適切な頻度やメンバーでレビューが実施されているか?
  承認が正しくされているか?
  検証にかかる時間が短くないか?
 製造
  作業指示書があるか?
  製品の要求指示と指示書に乖離がないか?
  指示書が適切に更新されているか?
  指示書と実際の作業に乖離はないか?
  設備は老朽化していないか?
  設備管理が適切か?
  4Mに齟齬はないか?
 検査
  要求基準と検査指示書に乖離がないか?
  実際の検査方法に乖離がないか?
  検査結果が意図的に修正された痕跡はないか?
  不合格品が納品された痕跡はないか?
  検査結果はダブルチェックされているか?
  機器の校正が適切に実施されているか?
 抜き打ちでチェックする。
 データのトレンドを見る。(過去のデータとの比較)
 修正の出来ない検査システムもしくは修正の記録を残るようにする。
 適度な人事異動
 適正な成果目標設定
 教育方法について
  デジタル教育ツール(e-learning)を使う
  動画を作成して情報を共有
  階層別教育
  外部専門家によるセミナー
 品質関連部門は会社の規範となる存在
 コミュニケーション
  相談しやすい上下関係
   ほめる 報告してくれたこと自体をほめる
  管理職自身や管理体制の問題を顧みる
   一緒に改善していく
  傾聴
   相手の話したいことを受け入れる。
   突き放さない
  平時からの声掛け
  物理的な距離を近づける

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